採用をしたけれどもすぐに辞めてしまう・・・そんな声を聞くことがあります。
せっかく費用と時間をかけて採用した社員が辞めてしまうことほど辛いことはありませんね。
待遇?コミュニケーション?価値観?職場環境?それともハラスメント? 社員が自社を去ってしまったのはなぜか? その答えを探すのはとても大変です。なぜなら、必ずしも理由は一つではないからです。大概において、幾つもの理由があり、あるタイミングで、社員は、「もう限界だ、辞めてしまおう」となったからです。
そうならないために、経営や人事に携わる方は色々と考えを巡らせ、対応を考えると思いますが、そこには、幾つかの検証したいチェックポイントがあります。
そこで、「人事」と「労務」を専門にして、年間を通して、従業員数名から100名を超える規模まで、大小さまざま、およそ80社とお付き合いをしてきている弊社代表 高倉がそのポイントをご紹介します。思い当たる部分があるのなら、そのポイントを改善することをおすすめします。
社員が長く働きたいと思える職場はどのようにつくるのか、ポイントをお伝えします。
1. 適切な採用とフィット
まずは、採用時点で企業文化や価値観とマッチする人材を選ぶことが重要です。これにより、新入社員が早期に馴染み、長期的な関係を築く土壌が整います。
例えば、従業員エンゲージメントを測る質問や、職場の雰囲気を伝えるインタビューを行うことで、適切な人材を見つける手助けができます。
最近は、採用に向けた企業動画を活用するケースも増えています。こちらはトヨタ自動車九州の新卒採用動画ですが、企業のビジョン、職場の雰囲気、製品やサービスの特徴、そして働く方の声などがまとめられています。
2. 社内コミュニケーションの充実

続いてのポイントは、社内のコミュニケーションを充実させるというもの。
情報の透明性を保ち、上司や同僚との良好なコミュニケーションを促進することが求められます。定期的なフィードバックやミーティング、オープンな意見交換の場を設けることで、社員の不安や疑問を解消し、モチベーションを高めることができます。
弊所では、企業のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の導入のサポートもしていますが、実際に、グループウェアを導入したことで、コミュニケーションが円滑になり、離職率が下がってきているという報告をいただいたりもしています。
また、社内のインフラをコミュニケーションがより活発になるように整備するのも良いかもしれません。このリンク先ではボストンにあるGoogleの社内の様子を見ることができますが、自由闊達に意見を交換できそうな雰囲気、また生産性も向上できそうな仕様が見て取れます。 https://officelovers.jp/google-boston-cambridge-office-design/
3. キャリアパスと成長機会の提供

3つめは、成長を期待させることができるか?というもの
社員が自己成長を感じられる環境を整えることも長期的な定着には欠かせません。スキルアップのための研修や、明確なキャリアパスを提示することで、社員の将来への期待を高めることができます。
キャリアパスとは、経歴(Career)と道筋(Path)を組み合わせた言葉です。 つまり、従業員が目指す役職や地位、役割を見定めた時に、たどるべきポイントやクリアすべき基準、身に付けるべきスキルや経験などを示すものといえます。別の言い方をすれば、「人材育成のルートマップ」とでも呼べます。
例えば、定期的な面談や、外部研修への参加を奨励する取り組みが効果的です。
4. 働きやすい環境の整備
4つめは、環境
ワークライフバランスを重視し、フレキシブルな勤務形態や、ストレスマネジメントのための支援を提供することが必要です。リモートワーク(または出社とリモートワークのハイブリッド)の導入や、有給休暇の取得促進、メンタルヘルスケアのためのカウンセリング制度など、社員が安心して働ける環境を整えることが重要です。
今挙げたものの中に「リモートワーク」というものがありますが、若い社員は、意外にもリモートワークではなく、出社を望んでいて、年齢が上がるほどリモートワークを望む方の割合が高くなるといった調査もあるようです。たしかに、これからキャリアを積んでいく若者は、直接、指導を受けることを望んでいたり、単身者は、予定のやりくりも比較的容易ということを考えれば、なるほどと思えます。
参考資料:ビジネスインサイダー「Z世代は出社を望んでいる。リモートワークを基本にすると5年後の社員構成は「中年だらけ」に?」https://www.businessinsider.jp/article/256746/ (会員限定の記事ですが、冒頭部分だけでも理解しやすくまとめられています。)
5. 社員の声を反映した制度作り
最後は、制度の作り方です。
今の企業は社員の意見や提案を積極的に取り入れ、職場改善に役立てる姿勢が求められます。アンケートやフィードバックを通じて、現場の声を反映し、実際の制度や運営に反映させることで、社員のエンゲージメントを高めることができます。明文化されたものがあれば、社内が揺らぐようなことが起きても、判断の拠り所ができます。
エンゲージメントとは、Engagement:婚約とか誓約、約束などを意味する言葉ですが、ビジネスの現場では、企業と従業員や顧客との関係性を表す際に用いられます。従業員のエンゲージメントという場合、従業員が企業に対して抱く愛着や思い入れ、貢献の意志と言い換えても良い言葉です。
「就業規則」というと、とても堅苦しく、「労働時間は何時間か」「有給は何日与えられる」と言った細かいことも記載されていますが、作成した就業規則を俯瞰してみると、「社長の社員への思い」が見えてくるというのが、私がよく言うことです。 会社をもっと良くしたい、社員の処遇を良くしたい、という社長の思いが、個々の条文にきちんと載るように、思いの伝わる就業規則を作っておくと、会社への愛着も湧くというものです。
まとめ
どうでしたか、御社の人事に関する取り組みは、こうしたポイントをおさえられていますか? 欠けているなと思うものがあれば、取り組むことを強くおすすめします。
会社の成長は、社員一人ひとりの成長と幸せにかかっています。職場は個々の小さな行動の積み重ねで確実に変わっていきます。まずは自社の労務課題を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。



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